眼科医の目(白内障手術 緑内障診療の長崎市中村眼科)

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2008年 02月 10日

網膜細胞作成は近く確立できる

目の病気も中に網膜の視細胞が変性を起こして 徐々に 見える範囲(視野)が狭くなったり 視力が低下していく病気である 網膜色素変性症という病気があります。私の病院でも かなりの患者さんを 診させていただいていますが 治療は 合併症の治療が主で 網膜の 視細胞 網膜色素上皮細胞 (この二つとも 網膜の主な成分)を治療する手段は 現在なく いつも悔しい思いで治療しています。
 理化学研究所がES細胞から 網膜の視細胞 網膜色素上皮細胞を作成することに成功したことを 発表したことから 昨日ある患者さんから 治療の可能性が出てきましたか?いつごろできそうですか?とご質問を受けましたので 私なり今の考えを述べてみます。
 もちろん 未来を 予想することは 困難ですので 予想より早く治療法が かくりつする可能性がないわけではないと期待しています。ESとiPSでできた細胞を 十分比較できた後 変性網膜に視細胞層と網膜色素上皮層を入れることができれば 機能できる網膜を再構築するのにどうすればよいのかといった神経のネットワーク作りの 研究が脚光を浴びることになると思いますし すでにある技術でもある程度の機能を回復できるかもしれません。これは 脳の機能回復と同時進行するでしょうから 違う分野とのコラボ的な研究が先陣をきるのではないでしょうか?網膜の回復が可能となれば 脳の回復もさらには脳そのものの作成へと向かうでしょうから加速度的に 進む可能性もあると期待します。

ただし 網膜の回復をiPSを用いるならば 眼科の角膜の治療で充分検証されてからの
応用となると思っていますので 網膜疾患の患者さんは 角膜の再生治療が普及し始めると
真の可能性が見えてくると思っても遅くないと思います。

不可能と思われていた病気の治療が ある日 突然 治療可能となった例はいくつもありますので 今の私の考えが まったく当たらないないかもしれません。

by n-ganka | 2008-02-10 13:14 | 医療 眼科


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